歯ぎしりとは

歯の痛みの原因には大きく分けて3つあります。虫歯によるもの、歯周病によるもの、そして歯ぎしりによるものです。場所が特定されない原因不明の痛みの多くは歯ぎしりが関係していることが多いと言われています。

歯ぎしりの原因は脳が興奮して起こることは分かっていますが、歯ぎしりを止める方法は根本的にはありません。そのため歯ぎしり用マウスピースで歯を守ることで対応します。
寝ている時の歯ぎしりは噛む力をコントロールできないため、噛む力は自分の体重以上になることもあります。そのため歯ぎしりによって歯がすり減る、歯がしみる、歯が欠けるなど多くのトラブルが起こります。

歯ぎしり用マウスピースは基本的に夜寝ている間に使用します。日中食いしばりが気になる方は、日中も使用可能ですが、できるだけ起きている時は自分自身で食いしばりを意識して改善するようにします。起きている時の食いしばりは癖が原因なので、意識すれば改善できます。

歯ぎしりで起こる口の症状

1.歯がしみる
歯ぎしりがある方は歯がしみることがあります。歯ぎしりによって歯の根元が削れたり下がったりすることで歯の神経が敏感になり冷たいもので歯がしみることがあります。主に奥歯がしみることが多いです。
2.歯が痛い
歯ぎしりによって長時間歯に負担がかかることで歯に痛みが出ることがあります。歯医者に行っても虫歯などは見つかりません。
3.噛むと痛い
歯ぎしりによって歯が揺さぶられると噛んだときに痛みや違和感を感じます。歯には歯根膜という噛んだ時に硬いもの、軟らかいものなど判断する膜があります。歯ぎしりによりこの膜に強い力がかかり、噛んだ時の痛みとして感じます。
4.歯の根元が削れている
歯の根元が削れていたり、段差があることに気付いた方は歯ぎしりをしている可能性があります。歯ぎしりにより強い力が歯の根元に加わると応力が集中し、歯の根元がくさびのように削れていきます。
5.歯が短くなる
歯ぎしりによって歯の噛む面が削れてしまい、歯が短くなることがあります。前歯は歯がギザギザする部分が増えたり、歯が平らになっていく場合もあります。奥歯は歯の表面にあるエナメル質が削れ、歯の真ん中にある象牙質が見えてくることで歯が黄色く見えるようになります。
6.歯茎が下がる
歯ぎしりによって歯が揺さぶられ歯茎下がりが起こることがあります。歯が長く見えたり、知覚過敏などの症状を伴うことがあります。
7.詰め物がよく取れる
歯の詰め物や被せ物がよく取れる方は歯ぎしりをしているかも知れません。銀歯が取れる、セラミックが割れる、プラスチックの詰め物が取れるといったことが起こりやすくなります。
8.歯が割れる
歯ぎしりによって歯の表面がかけたり、根元まで割れることがあります。歯の神経がある歯が割れると激痛が出ることがあります。治療は歯の神経を抜く治療を行いますが、割れ方によっては抜歯が必要になることがあります。
9.歯周病が改善しない
歯ぎしりによって歯が揺さぶられ歯を支えている骨が溶けて歯周病になります。常に歯ぎしりによって歯が揺さぶられるため、歯周病が急激に進行しやすくなります。定期的に歯石を取り除くことと、マウスピースで歯を保護する必要があります。
10.顎が痛くなる
顎関節症の項目でも説明がありますが、歯ぎしりによって顎の関節が強く圧迫されて痛くなります。顎関節は顎と頭をつなげている関節で関節の間には関節円板という軟骨が存在します。この関節円板はが介在することで顎をスムーズに動かす機能がありますが、歯ぎしりにより関節円板が圧縮され、ずれたりして顎をスムーズに動かすことができなくなります。それで歯ぎしりによって顎関節症になり顎が痛くなったり、音が鳴ったり、顎が開きにくくなったりします。

歯ぎしり用マウスピースを使用する効果

1.歯や歯ぐきを歯ぎしりの力から守る
マウスピースは歯ぎしりから歯や歯ぐきに伝わる力を和らげ、直接歯に強い力が加わらないようにします。成人の噛む力は60kgに及びそれが毎日1時間近く歯や歯ぐきに加わることによって歯が削れたり、揺れたりします。場合によっては歯が割れることもあります。この力をマウスピースを使うことによって分散し歯や歯ぐきを守ってくれます。
2.顎の関節を歯ぎしりの力から守る
顎の関節には関節円板という軟骨があり、この関節円板がスムーズに動くことで顎の関節が動きます。歯ぎしりにより顎の関節に強い力がかかり続けるとこの関節円板が変形したり、位置がずれたりして、痛みや音が鳴るようになります(顎関節症)。マウスピースをお口の中に入れて噛むと歯と歯の間にマウスピース分のあごの関節にすき間が出来ます。このすき間は関節円板にかかる負担を減らすことが出来ます。
3.歯ぎしりによる筋肉の緊張を和らげる
歯ぎしりの時に緊張している筋肉は口の周りだけでなく肩や頭などにも広がっていて、この緊張によって肩こりや偏頭痛が起こることもあります。歯ぎしりは無意識のうちに1時間近く筋肉が緊張した状態が続き、筋肉が緊張した状態が続けば疲労が溜まります。マウスピースをお口の中に入れることによって、噛み合わせの高さが上がり、筋肉の緊張を和らげ、肩こりや偏頭痛を軽くすることがあります。

歯医者で作る歯ぎしり用マウスピースの作製法と値段

歯ぎしり用マウスピースは歯医者で保険適応で作成することができます。費用は3割負担の方で5,000円程度。その他に初診料や型取りの費用などがかかります。型取りから1週間程度で出来上がります。硬い素材と柔らかい素材があり、どちらでも作成可能ですが柔らかい素材は咬み合わせの調節ができないためマウスピースの機能を充分に発揮することが難しい場合があります。特に希望がなければ効果を発揮しやすい硬い素材で作成させていただきます。歯ぎしりの程度によっては穴が開いたり壊れたりすることもありますが、保険診療では6ヶ月を超えると新しいマウスピースを作ることが可能です。

マウスピースの使用方法

夜、歯を磨いた後寝る前に入れます。違和感が強くて寝にくいときは日中1,2時間入れて慣れるようにしていただいてかまいません。朝起きたら水で軽く洗い、水気をふき取りケースに入れておきます。当院で作成する場合専用のケースをお渡ししております。落としたり、熱湯にさらすと変形したり壊れたりしますので注意して下さい。

汚れが水で落ちなくなったら、薬局などで売っている入れ歯洗浄材で清潔に使用できます。保険診療では6ヶ月以上たたなけれは作り直すことができませんので大切に使用しましょう。